好きになってくれない人へ。
教室の外では春輝が私を待っていて、目が合うと嬉しそうに手を振ってきた。
「先輩! 早く!」
「今行くから待ってて! ごめん、そういう訳だからまた今度ね」
春輝に急かされ、私はすぐに教室を出た。
「そんなに急がなくても焼肉は逃げないって」
「それは知ってるけど、先輩とご飯行くのが楽しみでさ!」
「っ………ほら、行くよ」
春輝と一緒にいるとなんか調子が狂う。
変なモヤモヤを抱えたまま、私は春輝と一緒に焼肉屋に向かった。
★★★★★
焼肉屋ではお互いに食べたい物を適当に頼み、他愛のない話しをした。
「あ、先輩。この肉もう食べ頃だよ」
「ありがとう」
他愛のない話しといっても、春輝からの質問を答えるのがほとんど。