好きになってくれない人へ。
父さんは基本、自分以外の人が撮った写真には興味が無かった。
もちろん、私が撮った写真も。
そんな父さんが、写真に「何か」を言ってきてくれたのが嬉しくて、肌身離さず持ち歩いている。


「やっぱ、すげぇ……」


春輝は真剣に私の撮った写真を見つめる。


「ずっと気になってたんだけど、春輝って高校に入る前から私の事知ってたの?」
「そりゃそうだよ」


すると春輝は、私について話し始めた。


「中学から何度もコンテストで金賞を取って、しかも作品は全部プロに匹敵するレベル。それに全ての写真から感情がダイレクトに伝わってくる」
「そ、そう……」
「写真に関係している人なら先輩を知らない人はいないよ」


意気揚々に語る春輝。
自分から聞いたくせに恥ずかしくなってきた。
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