好きになってくれない人へ。
「あ、いや。今、先輩の家の前にいるんだけど」
「えっ!?」


慌てて玄関を開けると、少し汗ばんだ春輝がいた。


「ど、どうしたの……てか、何で家に」
「あー、いや。えっと……」


答えにくそうにする春輝。
とりあえず、春輝を家に招き入れた。


「で、どうして家を知ってるの?」
「えっと、喜多実先輩が教えてくれて」
「蓮が?」


私の部屋に入った途端、挙動不審になる春輝。
若干目が泳いでる。


「女の子の部屋なんて行き慣れてるんじゃないの?」
「まぁ、そうだけどって、いや! そうじゃなくて!」


テーブルの上に置いてある、壊れたカメラを見た春輝は更に気まずそうな顔をした。


「喜多実先輩からカメラの事と、その、先輩のお父さんの話しを少し聞いて……」
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