好きになってくれない人へ。
「あれ、何でこんな時間にいるの?」


誰もいないと思っていたはずなのに、写真部の部室には先客がいた。


「何でいるのって、私のセリフなんだけど」
「いやいや、それ俺も該当するからね?」


部室にいたのは同じく写真部の1つ年下の後
輩、双海 春輝(ふたみ はるき)が部室にただ1つあるソファーに寝そべりながら自前のカメラをいじっていた。


「てか先輩、髪切っちゃったの?」
「……そうだよ」
「えー、俺先輩の長い髪好きだったのに」
「それはどうも。私も何で髪切っちゃったのか後悔してる途中」
「ふーん」


春輝はカメラをいじっていた手を止め、私に近づいて来た。


「……なに?」
「いや、先輩は健気だなって思って」


そう言った春輝は私を見下ろす。


「アンタの、そういう察しが鋭いところ嫌い」
「えー、俺の唯一の長所嫌わないでよ」


春輝はおちゃらけた様子でスマホの画面を見せてきて、今度私と春輝が出場するコンテストの話を持ち出した。
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