好きになってくれない人へ。
「……うん」


きっと春輝は、私の心の中なんて全てお見通しなんだろう。
申し訳なさ程度に掴んだ春輝のワイシャツ。
……私は何を怖がっているんだろう。


「あ! かき氷売ってるよ! 私買いに行って来るね」
「え、先輩!?」


たまたま見つけたかき氷の出店を口実に、私は春輝から逃げ出した。

日を追う事に私の中で、春輝の存在は少しずつ大きくなっている。
それはこの夏休み、春輝と一緒にいる時間の中で気づいた。
きっと、あと少し。
何かのきっかけがあれば、春輝の事が好きになるんだろうな。と確信するレベル。
でも、私の中でそれを阻止する感情があるのも確かだ。
きっと私は春輝を好きになるのが怖いんだ。
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