好きになってくれない人へ。
春輝はどうやら展示会のテーマが決まったようで、写真撮りを行っているらしいけれど、私はテーマさえ浮かんでこない状態。
正直、詰んだ。


「ま、桜来って直感派? って感じだもんね」
「そうなんだよねぇ……」


撮りたい物が思いつかないのに、写真を撮っても納得なんて、出来る訳もなく低迷している。


「いつもはどうしてるの?」
「いつも? いつもは……」


そんな事、全く気にしてなかった。
私っていつもどんな感じで写真撮っていたっけ。
本格的にヤバいなと頭を抱えていると、誰かが被服室に入ってきた。


「あの! ここに藤妻桜来先輩はいらっしゃいますか?」
「……私?」


突然、知らない声に名前を呼ばれ顔を上げると、さっき見かけたメイド服の女の子が私の目の前に立っていた。
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