好きになってくれない人へ。
「あなたが藤妻先輩ですか?」
「そ、そうだけど……」
あ、さっき春輝と一緒にいた女の子だ。
「私、1年3組の伊井田 杏桜と申します。少しお話ししても大丈夫ですか?」
「べつに、いいけど」
あ、なんか凄い剣幕だ。
私に対して何か怒っているのかな?
「突然ですけど、先輩って春輝の事が好きなんですか?」
「えっ!?」
女の子から突然春輝の名前が飛び出してきて、思わず後ろに倒れそうになった。
「……私、春輝とは中学からの付き合いで、よく相談受けるんです。好きな人に振り向いてもらえるようにするにはどうしたらいいんだろうって」
「え………」
いつも飄々としていて、私にストレートに気持ちを伝えてくるあの春輝が。