好きになってくれない人へ。
「先輩の事で悩む春輝を、私は正直これ以上見ていられません!」
「そ、それは……」
「私! 昔から春輝の事が好きなんです!」
「っ……」
だろうなと、そんな感じはしていた。
「先輩が春輝の事をどう思っているのか分かりませんが、もし先輩にその気がないなら私が、春輝の事を貰います!」
「えっと……」
私を捕らえる伊井田さんの瞳は真っ直ぐで、本気だと言われなくてもすぐに分かった。
「今日はそれだけ言いに来たので!」
伊井田さんは私に正面から宣戦布告をして、被服室から出ていった。
この事をずっと見ていた茉心は私にそっと声をかけた。
「い、今の子は凄いね……」
「うん、そうだね」