好きになってくれない人へ。
「……先輩?」


後ろから春輝の声が聞こえた。


「えっ!?」


驚きながら振り向くと、まだ執事の格好をしている春輝が私の後ろに立っていた。
何だか少し春輝の顔が赤い気がする……。


「ど、どうして先輩がこんな所にいるんですか?」
「え、えっと……展示会の写真撮り?」
「質問を質問で返さないでくださいよ」


春輝は少し疲れている様子で、真っ黒なネクタイを緩めた。


「メイドと執事カフェするんだって?」
「な、何でそれをっ!」
「うちのクラス、文化祭実行委員長がいるからね」
「あー、なるほどね」


納得いった様子で春輝は頭を抱えた。


「どうして私には秘密にしてたの?」
「いや、恥ずかしいでしょ、どう考えたって」
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