好きになってくれない人へ。
蓮と話し終えた伊井田さんは、私と蓮を交互に見つめた。
「先輩は、彼女持ちの人にも手を出すんですね」
ボソリと、伊井田さんの口から確かにそう聞こえた。
すると伊井田さんは、くるりと体の向きを変え大きく手を振った。
「春輝ー! ここだよー!」
伊井田さんが春輝の名前を呼んだ瞬間、体がビクリと反応した。
大きな荷物を抱えた春輝が伊井田さんの声に気が付き、少し遅れて私達の所に現れた。
「あっ! ったく、何で急にどっか行くんだよお前は」
「ごめん、ごめん! だって先輩達見つけてさ」
そこでようやく春輝は私達に気づき、見た目が変わった私を見て春輝は動揺していた。
「せ、先輩? どうしたんすかそれ……」