好きになってくれない人へ。
伊井田さんはその言葉と一緒に春輝の腕を取った。
その事を初めて聞いたのか春輝は驚きを隠せなかった。


「はぁぁ!? 先輩の前で何勝手な事言ってんだよ」
「えー? べつにいいじゃん! 私達お似合いじゃない?」
「お似合いじゃないから。いい加減にしてくれない?」


冷たくあしらう春輝。
それでもめげない伊井田さんは、春輝から離れようとしなかった。


「あぁ、そうだ先輩! 私、ミスコン受けるんですよ」
「………それが?」
「白黒つけようかなって思いませんか?」


あぁ、そういう事。
今、私はこの子に喧嘩を売られてるのか。
なるほどね。


「……えっと、桜来さん? そろそろ帰りましょうか」
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