好きになってくれない人へ。
寝ている時表情が幼くなるのが好き。
目が覚めると少しの間だけ、ぼうっと遠くを見つめる姿が好き。

皆が知らない蓮を私は知っている。
どう? 羨ましいでしょ?


「……誰か私を殺してくれないかな」


皆が知らない蓮を知っていても私は“幼なじみ”から抜ける事はできない。
ならいっその事、私が蓮の幼なじみじゃなければ恋愛対象になったりするのかな。


「こんなに好きなのにな……」


ないものねだり、たらればの話をしても意味はないっていう事はもう痛い程分かっている。


「……帰るか」


これ以上蓮と茉心の姿を見ているのが辛くて家に向かった。


★★★★★


家に着いてから数時間が経ち、自分の部屋でくつろいでると、部屋の窓の外から私を呼ぶ声が聞こえた。

「帰ってきたのか」
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