好きになってくれない人へ。

「喜多実先輩の事、忘れられた?」
「………うん」
「それは良かった」


幼なじみで、しかも家が隣同士だったから、蓮とは今まで一日の大半をずっと一緒に過ごしてきた。
久しぶりに蓮と離れた気がする。


「俺さ、もし先輩が本気で喜多実先輩と付き合いたいって言うなら協力する」
「うん」
「でも、もしそうじゃなかったら……」
「じゃなかったら?」
「………いや、何でもない」


春輝は何か言いたげな様子だったが、口を固く結び下に俯いた。


「でも、これだけは覚えておいて。俺、先輩には悲しい思いはしてほしくない」
「うん」
「………また何かあったら話し聞くから、何でも言って」


春輝は少し悲しそうな目で私に笑いかけた。
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