好きになってくれない人へ。

部活とは関係なしに、今まで通り個人で撮った写真をコンテストに出す事を中学3年まで続けていた。

高校ではちゃんとした人達が集まるのだろうという期待を込めて、3年になってからは高校生が主に活躍するコンテストや写真展を見て回るようになった。

そしてそんなある日、“藤妻 桜来”に出会った。

一言で言えば、あの人は“天才”だった。
メッセージ性のある写真ばかりを撮る人で、風景の写真はもちろんの事、モデルの表情を引き出すのが誰よりも上手な人だった。

1人グラウンドで駆け回り、砂まみれになりながらもゴールに向かってボールを蹴る男の子の写真。
その写真にはモデルとなった男の子の顔なんて写っていない。
後ろ姿だけの写真。
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