好きになってくれない人へ。

「ちょっと、今写真撮ったでしょ?」
「え、あぁ、先輩が凄く綺麗だったので」
「……ま、いいけどさ」


それは無自覚な行動だった。
自分自身でも写真を撮っていた事に気付かないほど。
それほど、今この瞬間を収めたいと思った。
先輩はあまりにも綺麗で、切なく何かを見つめるから、何を見つめているのか気になりその視線を追うと、あの日写真で見たサッカーをする男の子がグラウンドにいた。

あぁ、なるほど。
そういう事か。


「先輩って、あの人の事が好きなんですか?」
「えっ!?」


あまりにも分かりやすい反応。
初対面のはずなのに、なんで分かったんだと言わんばかりの表情に思わず笑みがこぼれた。
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