好きになってくれない人へ。
先輩には散々偉そうな事言ってきたが、その言葉全てが自分に返ってくる。

鈍感で、優しくて、お人好しで、可愛い人。
どうか俺のものになってくれないかな。

そんな思いを抱えながら過ごす日々。

先輩が覚悟を決めて髪を短く切った日は、正直かなり落ち込んだ。
先輩の心には喜多実先輩しかいない。
分かってはいたけれど、耐えられなかった。
そして先輩も俺と同じ思いを抱えている。
そう思うと、どうしても助けてあげたくて、力になってあげたかった。

自分でも馬鹿な事をしていると思う。
好きな人のために、好きな気持ちを押し殺しているんだ。
だからこそ、先輩には幸せになってもらいたい。
諦めてほしくない。

自分の気持ちにケリをつけたはずなのに。
応援すると決めたはずなのに。
先輩が笑いかけてくれるだけで、俺を頼ってくれるだけで、重く封印した気持ちが蘇る。
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