好きになってくれない人へ。
俺のお願いで、観覧車にも乗った。
ゴンドラの狭い空間の中で先輩と2人きり。
いつも以上にドキドキして、この時間が永遠に続けばいいと思った。

諦めようとすればするほど、俺の中で先輩に対する思いは大きくなるばかりで、泣きたくなった。
離れたくない。
諦めたくない。
諦めたくない。諦めたくない。

最後のお願いで、先輩の手を握った。
先輩の手は俺の手よりずっと小さくて、異様に心臓が高鳴った。
振り払われるのを想像していたけれど、まさか握り返してくれるとは思ってもいなく、このまま先輩を抱きしめて、想いを伝えてしまいたいと何度も思った。


「先輩を悲しませないから、俺の事を好きになってよ」


テーマパークからの帰り道、何度も言いかけた。
< 62 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop