好きになってくれない人へ。

「……先輩?」
「え、あ……なんだ、春輝か」


時計を見ると9時半を回っていて、私が部室に来てからもう既に2時間は経っていた。


「春輝、授業は? 出ないの?」
「え、あ、いや……」
「ちゃんと、計画してサボらないと留年しちゃうよ?」


こんな時に限ってよく回る口だ。
関係のない話し、思ってもない事がぺらぺらと出てくる。
でも、春輝の顔を見ていたら自然と口が止まった。


「……私、ダメだった」


その言葉を聞いた春輝は何も言わず私を強く抱きしめ、春輝の優しさがトドメを刺し私は声を荒らげて泣き出した。
散々泣き喚いて、少しだけ落ち着きを取り戻した私は何があったのか春輝に話し始めた。
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