好きになってくれない人へ。


蓮の好きなところを挙げていく度に寂しさがつのる。
そしてようやく、現実を受け止められたような気がした。
蓮は茉心と付き合って、恋人同士になる。


「……全部、好き」
「そっか……」


それを聞いた春輝はあの日、テーマパークで見せた寂しそうな顔を私に向けた。


「ね、先輩…」
「なに?」
「俺が、狡い人だって事はもう分かってるでしょ?」
「まぁ、それなりには」


寂しそうに、切なそうに、悲しそうに、でも愛おしそうに笑う春輝。
春輝は私の頭を撫でて呟いた。


「俺ね、先輩の事、ずっと前から好きなんだ」
「え……」
「先輩が、喜多実先輩を好きなのはもう知ってる。だからさ、俺。喜多実先輩の代わりになれないかな」
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