好きになってくれない人へ。

教室の外に目を向けると、噂の喜多実先輩が俺を待っていた。


「分かった、ありがとう」


喜多実先輩のもとに向かうと「少し大丈夫か?」と言われ、後をついて行った。
あまりに他の人に話しを聞かれたくないのか、裏庭まで移動すると喜多実先輩は気まずそうに口を開いた。


「あの、桜来の事なんだけど…」


そんな事だろうなと薄々予想はしていた。


「桜来って今、学校に来てるのか?」
「………なんでそれを俺に確認するんですか? 喜多実先輩はあの人と幼なじみなんですよね?」


あえてこの言葉で返すと、さらに気まずそうに表情を曇らせた。


「そうなんだけど、今桜来から距離取られてて」
「……あぁ、なるほど」
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