好きになってくれない人へ。

「俺と練習、しよっか」
「……練習?」
「そう、練習。先輩って、喜多実先輩に対する思いをまだ直接言葉にできてないわけでしょ?」
「………たしかに」


確かに、今まで怖くて逃げ出していて、気持ちを伝えたとは言っても、それっぽい言葉を言っただけで、直接「好き」と伝えていない。


「先輩には酷い言葉だと思うけど、もう怖いものはないでしょ?」
「それは、そうだけど……」


春輝の言う通りだ。
蓮はもう茉心と付き合っているし、この状況を何とかするにはあと、私が蓮に気持ちを伝えて潔くフラれるだけ。


「なら、あとはもう練習あるのみでしょ。それに、俺がいるから怖い事なんて何もないよ?」


春輝は私の手をそっと握り、瞳を合わせてまっすぐ見つめてきた。
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