好きになってくれない人へ。


先生は短くそれだけ言うとさっさと教室の中に戻っていき、取り残された私は静かに後ろの扉を開けて教室の中に入った。


「あれ、藤妻じゃん」
「え、本当だ」
「何日ぶりだっけ」

まるで珍しい物を見るような目で見られながら私は自分の席についた。
多少ざわつくなか、体育祭についての話し合いが再開された。


「えー、体育祭が2週間後に控えてる。お前達2年は体育祭の運営にあたってもらう」


さっき蓮と少しだけ目が合ったが、すぐに逸らされてしまった。
こうなる事はもう予想済みだ。


「体育祭の運営をするにあたって、これから独断と偏見でペアを指名させてもらう」


体育祭の運営とは主に、種目で使う用具の準備や後片付け。
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