好きになってくれない人へ。
「次は、俺の番です」
「えっと……」
「今度は、俺の事だけを見てて」
春輝が珍しく見せる真剣な表情。
春輝の目が、体温が、空気が、私を好きだと叫んでいる。
「そっ、そういえば! 次って確か1年の種目じゃなかったっけ!?」
「ちょ、先輩?」
「体育祭を運営する先輩として、遅刻は見逃せない! 早く集合場所に行ってきな!」
春輝は強引に私から離され、ちょっと不機嫌にはなっていたが、次の種目の集合場所に向かった。
「何これ、顔熱い……」
春輝から好意を寄せられている事は知っていた。
でも、今になってようやくそれが本気なんだと気づき、私の体温は上昇した。