灰色メメント
プロローグ






─────剥製屋。






今では街に出て聞いたら、殆どの人が知っていると答えるであろう。




少しばかり有名な、”童話”。





この世界のどこかにある”剥製屋”は、その店を必要とした時にのみ、必要な者の前にのみ現れるとされている。





見た事のある者はいない。




その店に入ったら、生きて戻る事は不可能と言われているからだ。





その店の店主は沢山の『不思議な力』を持っていて、その中でも”生物を剥製にする力”が有名だ。




姿形は10ほどの男子、身長は140センチくらい。




何より、人の目を引く雪の様に白い肌と髪に、兎の様に真っ赤な瞳。







小人から巨人まで、男から女まで、ありとあらゆる生物を剥製にする力を持っていると言われている。






「でも、そんなのは童話の話でしょう?」







────それは、どうかな。




















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「お茶が入りましたよ」







そんな青年の声が響く、とある街のアンティークショップ。

















────「ありがとうございます、レイ」











”雪の様に白い肌と髪”




”兎の様に真っ赤な瞳”









歳は10ほどの優しそうな顔をした少年。







エプロンを身にまとい、その顔に微笑みを湛えた少年。









先程の青年はその少年に向かって口を開いた。
























────「お疲れ様です。店主様」



















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