【完】爽斗くんのいじわるなところ。
——ピンポーン。
とインターホンが鳴ったのは夕方だった。



「大丈夫? 莉愛ちゃん」


訪問客は……優心くんで、びっくりした。


「うん、もうすっかり元気」




プリントを届けにきてくれた優心くんに部屋に寄ってもらって、
懐かしい話なんかしている間も、


頭の中はやっぱり爽斗くんのことばかりだ。


必然的に爽斗くんの話題が増えてしまって、



「え? じゃあそのベランダからサヤが入ってくるってこと!?」


優心くん、なんでそんなに驚くんだろう。


「うん……」


「いや、うんじゃないでしょ。だって着替えとか見られたらどうすんの?」


「あぁ。それはね、カーテンを閉めてるときはお互い入らない約束になってるから大丈夫なの」


「へー、カーテンを。じゃあ閉めとこ」



優心くんはカーテンを閉め切ってしまった。



「これでサヤは来れない」


優心くんはいたずらっぽく笑う。



「だってサヤのことでなんか悩んでるんでしょ? 俺でよかったら、話聞くよ」


……やさしくて、おだやかで。
心にしみる……。

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