【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「莉愛ちゃん。依存と恋はちがうよ」
優心くんの声が、
いつもよりずっと強い口調。
「ずーっと、サヤの立場がいつも上で、莉愛ちゃんは何でも従ってたでしょ」
「まぁ……うん」
でもそれは自然なこと、というか。
それがあたしたち、というか。
「莉愛ちゃん、恋ってそんなんじゃないよ?」
優心くんは、優しい口調にもどして、
だけど真剣な目でつづける。
まるで
この恋を恋と思うあたしに、
”目を覚ませ”って言いたいみたいに。
「莉愛ちゃんがサヤにとってどんな存在なのか、客観的に判断しなよ。ある日、目が覚めたらね、きっと従順な自分がばからしくなるよ」
思考が追い付かなくて、ただ茫然と優心くんを見るあたしに
彼が視線を上げて、にこっと笑った。
「なんてね。……まぁでも、ほんとに。心配してるっていうか」
コーラに刺さるストローをひと混ぜした優心くんは
同情してくれたのかな。
「……泣きたくなったら我慢しないで俺んとこおいで、ってこと」
優しい微苦笑をあたしに向けた。