【完】爽斗くんのいじわるなところ。
自室にはいってすぐ、
爽斗くんが開けてしまったカーテン。


滲んだ視界の中、
夕暮れの赤らんだ色が部屋を照らして。


爽斗くんが振り向いた。
夕日で逆光になって彼の顔は見えない。


——でも、



「……、莉愛」



あたしの名前を呼ぶ声が
いつもよりやけに寂しそうに聞こえる。


夕暮れの雰囲気とまざりあう声が
胸の奥を切なくさせた。



「……俺さ、」



ドキドキと鼓動が速くなっていく。


……何、どうしたの?



少し構えて、言葉の続きを待っていたら。


< 113 / 388 >

この作品をシェア

pagetop