【完】爽斗くんのいじわるなところ。
こんなに緊張しながら待っていた言葉の続きは、ぜんぜんちっとも予期しない内容だった。
「俺、潔癖なんだよね」
「……へ?」
こんなの、誰でもあっけにとられちゃうよ。
突然なに言いだすの……?
「け、潔癖……っていうと、その、つり革が触れないとか……?」
爽斗くんが潔癖なんて、はじめて知った。
でもずっとサッカー部だったし
グラウンドの土とかで汚れてたよね?
最近潔癖になったのかな?
あ、この部屋
今日掃除してないけど大丈夫かな……!?
色んなことを考えていたら、
「つり革とかは平気。潔癖って自分のルールみたいなもんはあるんだよ。これは平気、これは無理っていう揺るがないラインがあんの」
「へぇ、そうなんだ」
知らなかった。
爽斗くんは色んな事にくわしいんだ。
「俺の潔癖は、この部屋と莉愛だけ」
「……っ、つまり、この部屋とあたしが、汚いってこと……!?」
衝撃と困惑の涙声が爽斗くんにとどいたとき、
「勝手に勘違いして泣いてんなよ」
ぽこっと頭を軽く叩かれた。
「この部屋と莉愛は俺の縄張りみたいなもんなのね」
「うん……」
「だからこの部屋にほかの男入れたら、もう俺はここ、来ないから」