【完】爽斗くんのいじわるなところ。
そんな。
爽斗くんが来ないなんてぜったい嫌……。


「じゃあもう誰も入れない……!」


「素直かよ」


「だって、爽斗くんともっと一緒にいたいから」



はっきりと返したら、
爽斗くんの瞳が動揺したように揺れた。



「……莉愛っていつも俺にいじめられてんのに、なんで一緒にいたいとか言うの?」



「……だって、あたしは爽斗くんがいないとだめだもん……」




あれ、これってまるで。


優心くんに言われたさっきの言葉どおりの。



「……依存?」


ぽつりと呟いた声が聞こえたのか、
爽斗くんはあたしを見て鼻で笑った。


「……へー。あっそ」



爽斗くんの視線はあたしから外れて
テーブルの上に乗った二つのグラスへと移り、
眉間にしわが寄る。



「部屋だけじゃなくて莉愛自身も、」



冷ややかで、
あたしを突っぱねるような目つきなのに



「……俺以外の男に気ゆるすなよ」



ドクンと心臓が大きく跳ねる。



優心くんは依存って言ったけど
ぜんぜん違うよ。



爽斗くんは、あたしにとって
嫌われてもいじめられても


なぜかドキドキさせられて
追いかけたくなる相手なんだ。



……これが恋じゃないわけないよ。




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