【完】爽斗くんのいじわるなところ。
すっぽりと腕の中に包まれて
固まるあたしの鼓動はおかしくなりそうなほど速い。



「……莉愛なんか、俺だけでいいじゃん」



耳元で聞こえた声が、
余計に心拍数を上げる。



たしかにあたしの分際で、
爽斗くん以外の友達と
家で遊ぶなんておかしかった。


ちゃんとわかったから……。


ドキドキしすぎてもう酸素がまわらない。



だから、


「……離して」





限界すぎてそう言った瞬間、



跳ねのけるように離れられて、びっくりした。



「……ごめん」



そう言ったのは爽斗くんだ。


バツが悪そうに顔をそむけていて、
きょとんとしてしまった。



なんで謝るの……?


正直意外すぎる反応だ。


そんな顔が見たかったわけじゃないの。


……爽斗くんが謝らないで。



「ちが……。あたしどきどきして倒れそうで……、ごめんね……」


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