【完】爽斗くんのいじわるなところ。
落ち込みながら、爽斗くんの隣に腰をおろしたら、
スマホが傾けられた。
「場所、ここでいい?」
表示されているのは、
人気テーマパークのホームページだ。
……え、いいの?
爽斗くんと遊園地に行けるの?
「行きたい……! いいの?」
「んーまぁお詫びだし。俺日曜バイトないから莉愛の体調治ってからの、来週の日曜。あけといて」
「うん、うん……!」
「雨天延期ね」
「え、」
でもそりゃそっか……。
「絶対に晴れてほしい……」
そう呟きながら天気予報アプリを開く。
あ、今はまだ載ってないみたいだ……。
そのころ梅雨にはいるかな……?
「そんな必死な顔しちゃって、そんなに俺と遊園地デートしたい?」
あたしの髪をすくう、爽斗くん。
つくりの綺麗な顔がこちらに傾けられていて。
「で、デート……。うん。行きたい、です……」
ドキドキしながら返したら、
「……、あっそ」
爽斗くんは何か言いかけた言葉を
明らかに飲み込んでしまった。
「……」
なぜか一度睨まれて、
ペチンとでこぴんしてから
立ち上がってベランダの方へと歩きはじめた。
一度もこっちを振り返ることない背中はどこか不機嫌で。
「……雨降んないようにせいぜい、てるてる坊主でも飾っとけば」
子供扱いして、
鼻先でせせら笑った爽斗くんは、
そのまま自分の部屋に戻ってしまった。