【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「お、ユーシン。莉愛ちんが爽斗くんとデートすんだって」
「え……。まじ?」
「”デート”っていうか、ただ二人で遊園地にいくだけだよ」
「それデートじゃんかよー」
ため息まじりの非難めいた優心くんの声。
この前”依存”って言われちゃったし
爽斗くんとのこと心配してくれてるんだろうな。
……優心くんは
本当に優しいもんね。
「あー、それでそんな本、数日前から読んでたんだ?」
あたしの手から楽しい会話術の本を一冊抜き取って、
「こんなの要らないよ」と笑う。
「もし莉愛ちゃんとサヤの立ち位置が対等なら、の話だけどね」
優心くんは本をペラペラとめくる手を止めて、パタンと閉じた。
「もし俺がデートするんだったら、莉愛ちゃんがそこにいるだけで楽しいって思うよ」
優しい微笑みを向けられて
少しドキドキしてしまう。