【完】爽斗くんのいじわるなところ。
気を取り直して、
爽斗くんを見ると


シンプルないつもの私服。
スタイルがいいから、何を着ても似合うし、
見てるだけでときめいてしまう。



気づけば爽斗くんの視線は、カーテンレールのところを向いていて、


「なにあれ。莉愛、ほんとにてるてる坊主かざったの?」



吊るされた一体のてるてる坊主を見て爽斗くんが呆れっぽく噴き出した。




「……お前ってほんとガキよな」



そんなにバカにしなくてもいいのに。



だって爽斗くんが言ったから飾ったんだよ?


もしかして、からかっただけだったのかな……。


少ししょぼくれながら


「でも……ちゃんと晴れたよ……?」


そう彼を見上げて窓の外を指さすと。


眉間に皺を寄せる少しセクシーな目があたしに向く。



「なにその上目遣い?」


むにっと頬がつねられてしまって。



「痛い……」


「痛くしてないけど」


うん……ほんとは、近くてドキドキしたからそう言った……。



「根暗に上目遣いなんて似合わないから、間違っても外ですんなよ。一生俯いてろ」



不愉快そうな顔と命令に
あたしは呼吸より自然に頷いてしまう。


「……うん。ごめん、変な顔見せちゃって……」


「変といえば、」


すると、
彼の親指がそっと唇に触れてドキっとした。



「……くちびる。これなんか塗ってんの?」



かるく小首をかしげる爽斗くん。



< 126 / 388 >

この作品をシェア

pagetop