【完】爽斗くんのいじわるなところ。
切ったばかり髪が頬に当たる。


自転車の、爽斗くんの後ろって
ドキドキするけど気持ちいい。


体温があったかくて、
風が涼しくて、それからいい匂いがする。



「莉愛さー、あんな髪型して高校デビューでもしようとしたの?」


「デビューというか……」


知らない環境で……高校生になっても
爽斗くんとこうやって一緒にいたかったの。


「爽斗くんが隣を歩いても恥ずかしくないような人になりたくて……」


「は……? じゃあ俺のためなんだ」


「うん……」


「ふっ、なんで?」


「だって、爽斗くんだけは失いたくないから」


「……、なにそれ」


きっとあたしがする話なんて楽しくなんかないのに、
こうして一緒にいてくれるのは
爽斗くんだけだもん。



「せいぜい俺を失わないように頑張ってね」


「う……はい」


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