【完】爽斗くんのいじわるなところ。

リュックの代わりに
お財布とスマホくらいしか入っていなそうな
爽斗くんのバッグをひっかけたら、


一気に体が軽くなった。



一方、爽斗くんは背負ったリュックに対していぶかしげに眉根を寄せていて。



「お前これなに入ってんの?」


「重いよね? やっぱりあたしが金次郎さんでいいから……!」


「ぴーぴーうるさい」



リュックに手を伸ばされてもかわされてしまった。


なんだか、へんに頑な……。



「もしかして……」



荷物が重そうだから、変わってくれたの……?



爽斗くんは意地悪だけど、
ときにそれはあたしのため。



……きっとそうだ。
重いから変わってくれたんだ。



でもここでありがとうなんて言ったら
きっと怒られるから言わない。



「重いの持ってきちゃってごめんね」


「たいして重くないし、あんま男なめんな」



相変わらず毒を吐く爽斗くんだけど、
本当にあたしとは全然違う。


頼もしい男子で、



「いちいち謝んなよ。うざいから」


「う、はい」



また沈みかけるあたしを
彼はポコっと小突く。



「莉愛はそのまんま、ボケーっと俺の隣にいとけばいいんだよ」


この、絶対服従の微笑に



胸の奥がきゅんってしたこと、隠すの必死だった。




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