【完】爽斗くんのいじわるなところ。
わざと言わせてからの拒否なんて。


恥ずかしいし悲しいし、
相乗的になって消えたい心地……。



ほんとにいじわるだ……。



眉を下げて、完全にへこんだあたしの顔を
爽斗くんはもう一度嗤う。




「……ふ。お前泣き虫。だから俺にいじめられんだよ」



すると、片手がさらわれた。


気付けば暖かい手のひらに包まれていて。



「……あ」



手、繋いでくれた……。



「手つないだだけでよくそんな赤くなれんね?」



なんて馬鹿にしてわらう爽斗くんは、

繋いだ手を持ち上げて念をおすように言った。



「……この手、俺以外で汚すなよ」




そんなの、まるで独占されているみたいで
ドキドキしちゃうけど、



これは潔癖のせいなんだって、わかってる。




「聞いてんの?」


「あ、はい。うん。わかってる。爽斗くんだけしかしないよ……!」



気合をいれてそう宣言したら、


茶色の瞳が


きれいなアーモンドアイが満足そうに細まって、



緩んだ薄ピンクの唇が動く。




「……俺、お前のそういう素直なとこ好き」




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