【完】爽斗くんのいじわるなところ。




「まじでさ、そんな泣く?」


困ったように後ろ頭を掻いている爽斗くん。



結局あたしはお化け屋敷で腰を抜かして


忍び寄る幽霊に悲鳴を上げながら大泣きして
爽斗くんに担がれながらゴールした。



ベンチに座って未だ放心状態でほろほろと泣いているあたしの目線までかがんで



「……悪かったって、」



きまりわるそうな顔をして、
あたしの顔をハンカチでごしごしと拭く。



「すいませんでしたー」



そんな簡単に言わないで。

って思ってるのに、「いいよ」って口が言いそうになってハッとした。



優心くんが言った言葉。



”いつもサヤの方が立場が上で、莉愛ちゃんは下だよね”


たしかに……そうなの。


でもこんな意地悪はもう二度とされたくないから。


だから、


「許、さないもん……」


謝る爽斗くんにはじめて逆らった。


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