【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「え、」
「ぜったいに、許さないもん……」
弱弱しいけど確かに反逆してみたら、
「……」
黙り込まれてしまって、
あたしに緊張と後悔の波が押し寄せてくる。
「……」
すごく長いため息をついて、
ベンチに座るあたしの前にしゃがみ込んだ彼。
ヤバい……かも。
ぜったい怒らせたよね。
額に汗がにじんでくる。
きっとこれって【めんどくせー】って言われる流れだ……。
嘘、嘘、嘘です……‼
焦って「ごめん」の「ご」だけ言ったのと同時に、
「莉愛」
あたしの両手がとらえられた。
爽斗くんの暖かい手に包まれて、
茶色の瞳があたしを見上げる。
「ごめん。もうしないから……許して」
申し訳なさそうな声。
こんな爽斗くん見たことなかった。
だから、言葉を失っていたら。
あたしを見上げる切なそうな目。
なにその子犬みたいな目……?
「……俺のこときらいんなった?」
胸にぎゅんと何かが突き刺さった気がする。