【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「……そんなこと、ありえるの?」



そう言いながらも、爽斗くんがそんな冗談言わないこと
あたしは知ってる。



だから、今度は嬉しすぎて
ぷくりと涙が浮かんでしまう。



「弁当の中身、俺の好きなものばっかりだし」


「……うん」


「コンソメスープ。俺の一番好きな飲みものだし」


「……ん」


「そんなの感動するに決まってるだろ。…てか、いい加減泣き止みなよ」


「んむ」



ごしごしと爽斗くんのTシャツで涙がふかれてしまった。



「それにさ、泣くなら俺の前で泣いてくんない?」




眉根を寄せる爽斗くんは気に食わなそうに
あたしを見下ろしていたのに、


突然ふっと、いじわるく口角をあげるから、どきっとした。


爽斗くんはあたしの鼻先を撫でると、



「この悲惨な顔、見逃したくないからね」



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