【完】爽斗くんのいじわるなところ。



家に帰って机に置いてある”ポジティブになる本”に目を向けた。


……こんなの読んでも、あたしなんかが上手なポジティブにはきっとなれないよね。


だったら上手なネガティブを目指そうかな。


優心くんにいつもすくわれている気がする。魔法使いみたい。


そっと机の奥にしまって勉強を始めた。


そして22時、


「莉愛、勉強してる?」


爽斗くんが部屋にきた。


「うん。してるよ」


「ふーん」


あたしが座る学習机に手をついて、後ろからノートを覗き込む爽斗くん。


「あの……爽斗くん?」


「おばさんに勉強教えてやってって頼まれた。小テストが壊滅的だったって?」


「え! そんなことを……お母さんってば。でも爽斗くんもテスト期間なんだからあたしのことは大丈夫だよ」


「4点とったんでしょ」


「え!」


なんで知ってるの……。
って、お母さんか……ひどい……。



「100点中4点の隣人なんて哀れすぎるんだけど」


そう言って片づけてあった簡易椅子を引っ張り出して、あたしの隣に座る爽斗くん。


「……でもそんな、爽斗くんの勉強もあるのに悪いから……!」


「なにこのノート。カラフルすぎ。頭わるそ」


うう……あたしの話聞いてないし、なんでもかんでも悪口言われる……。



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