【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「このノートは優心くんに教えてもらいながらまとめたの」


「……は?」


「だから今日は結構進んだし爽斗くんは自分の勉強をして?」


と言っている間も、爽斗くんはパラパラとノートをめくっている。


ちょうど今日優心くんとやった分を確認し終えた直後。


「はい無駄」


ポイっとごみ箱にノートが投げ捨てられて、ぎょっとしながら拾い上げた。



「なにするの……!?」


「勉強教えてもらうにしても、もっとマシな人に聞いたほうがいいんじゃないの」


「そんな……。優心くんすっごく優しく教えてくれたもん」


「莉愛は4点なんだろ?」


「うん……」


「4点がだらだらとその勉強法でやって、伸びると思ってんの?」


「……それは、がんばる……」


「頑張り方が違うって言ってるんだけど」


ぶちゅ、と片手に両頬を潰されて、向き合う茶色の瞳。


絶対服従の視線があたしを捉えて



「俺が教えてやるって言ってんの」




くいっと、顎を上げる指先、


そして暗黒の微笑。



「……一から十まで全部ね」



もう逆らう余地はどこにもなかった。


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