【完】爽斗くんのいじわるなところ。

莉愛の瞳がゆっくりと見開かれて、涙が零れる。


「なんで……っ!?」


「俺以外の男がそばにいるってそういうことでしょ」


突き放すように言ったら、


「爽斗くんと縁を切るなんて……絶対いやだよ」



って、必死で俺の胸元を掴む莉愛。



なんでそんな可愛いこという?


依存って言ってたっけ。


そんなんじゃなくて、


……俺を好きになれよ。



「潔癖なんだもんね。あたし、綺麗にしておくから……」



俺が潔癖症って信じてるのもすごいよな。
莉愛に限局してって、どんな潔癖だよ。



……ほんと、馬鹿。


お前が綺麗にしとくとか
そういうことじゃなくて。



答えはこっちだよ。

何回も言ってると思うけどね。



「じゃあ”俺だけを追いかけてたらいい”んじゃねーの」



他の男なんか見ないで、俺だけを。



あーあ、莉愛。ぐずぐずになって泣いて。


……ほんと馬鹿だよね。



「じゃーね。もう帰る」


「待って、」



やだ。無視。
なぐさめてなんかやんない。



ずっと俺のこと考えて泣いていればいい。


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