【完】爽斗くんのいじわるなところ。
でも"今の"俺は、ふっと口角を上げて
なるべく優しい声で言う。
「いいよ、連絡先交換しようよ」
「いいの……?」
「うん、俺でよければ。名前なんていうの?」
「飯森こころです……!」
「へーこころちゃんっていうんだ。覚えた」
首を傾げてふっと笑うと、女子の頬はポッと赤く染まる。
……そう、その顔だよ。
ヤキモチ全開の莉愛の顔。
その顔が見たかった。
ねぇ、莉愛。
……お前ってなんでいちいち妬いて見せてくれんの?
一度、莉愛へ向けちゃった視線がそこから離れなくなる。
莉愛はくちびるを噛んで、眉間に皺よせて、俯いてる。
……最高の眺めだよね。
「じゃあこころちゃん、あとで俺からメッセ送るね」
「うん……! ありがとう!」
去っていく嬉しそうな女子。
ああいう女子に気を持たせちゃってごめんとか、そんな罪悪感、悪いけど俺にはない。
女子への興味が最高に一本道なんだよね。
「……お手洗い、いってきてもいい?」
しょんぼりした莉愛の声は最高だし癖になる。
それに「早くして」と見送って
いつの間にか俺の口角は上機嫌に歪んでいたらしい。