【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「……はぁー……」


つまり、あたしにとって、夏まつりと爽斗くんの組み合わせって言うのはトラウマ級なの。


でも、あたしがいると盛り下がるっていうのは、本当だと思うんだ。



——『爽斗くん、取られちゃうと思うよ?』


仁胡ちゃんの言葉がよみがえって、蘭子さんからのラブレターが頭をよぎる。


最近爽斗くんと仲良さそうに喋っていたいろんな女子が頭の中にくるくると浮かんでいく。



……誰かのものになって欲しくなんかないよ……。



でも、爽斗くんを求める魅力的な子はたくさんいるのに、あたしなんて、絶対一緒に行ってもらえるわけない。



「わかり切ってるよね……」



あ……。断られるって、綿密な覚悟をしてから誘ってみようかな。



「行くわけないだろ」とかって断られるくらい、”早く帰りなよ”って言われたあのときよりは、傷つかないんじゃないかな。



……すごい、もしかしてあたし、


いじめられすぎて、これ以上失うものないんじゃないかな……。


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