【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「……」


爽斗くんは押し黙って、あたしの手を離した。


「誰かと祭りの約束して中止にでもなった?」



爽斗くんの推理はばすれだけど、まさか断られるイメトレしててマイナス思考がそうさせたなんて言いたくもないし……。



「うー……ん、まぁ……」



嘘をつくのが下手だって自覚はあるから、中途半端に言葉を濁した。



「それ誰といくつもりだった?」


「え!」


「あーいい。うそ。なんでもない」



ぼすっとベットに腰をおろして、両手をついて天井を振り仰ぐ爽斗くん。



「爽斗くんは……お祭りいくの?」


「莉愛は? だれとも行かないことになったの?」


「どうだろう……」




やっぱり言葉を濁したら小さく舌打ちが聞こえて、どきりとした。



「莉愛は例えば、好きなやつ以外とはいく気ない?」



爽斗くん以外を誘うなんて、爽斗くん以上にハードルが高いと思う。



だって爽斗くんにはもう散々言われてるからいいけど、
友達を誘って盛り下げて嫌われてしまったら、あたし生きていけない。



「うん。行かない」


「……あっそ」


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