【完】爽斗くんのいじわるなところ。
『根暗は家にいろ。お前がいると盛り下がる』
そう言ったら、莉愛はいつもとは違って、
なにか言い返してきそうに見えた。
だから、かっとなって肩を押した。不慣れな下駄のこと忘れてた。
かんたんに転んで、ヤバいって思って
起こそうとおもったけど、どうしていいか一気にわかんなくなった。
だって遠くに優心を見つけたから。
俺とは全然違くて優しくて
”王子様みたい”で、
莉愛が恋してる優心を。
嫉妬や独占欲や恋なんて自覚もなく、
その気持ち悪い感覚に苛立ちながら、俺は吐き捨てた。
『お前の幸せなんて……俺が全部ぶち壊してやりたくなる』
莉愛の頬が濡れていく。
『爽斗くんなんて、大嫌い……』
絞り出すような涙声は、今でも忘れられない。