【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「爽斗く、」


がちゃりとリビングのドアを開けた途端
目に飛び込んできたのは。


頭にタオルをひっかけて、上半身裸にハーフパンツ姿の


どう見てもお風呂上りの爽斗くん……!



「ごめん……! 着替え中に入っちゃって……!」


「それ、テーブルにおいといて」


慌てるあたしには視線もくれず、爽斗くんは片手で髪を拭きながら、テレビのスイッチをいれた。


「あ……の」


「なに」


鬱陶しそうに振り返る爽斗くん。


華奢に見えたのに、予想外に線の入った腹筋に目が行ってしまって。



ぱっと目をそらした。



謝りたいんだけど……。


だから、その。


「服、着ないの……?」


「暑い」


「そ、そっか」


その恰好が恥ずかしいし、そっちを見て謝れないけど、


「あの、この前はごめんなさい……!」


俯いたまま、深く頭を下げた。


「あの時、嫌いとか言っちゃったのは、つい口が滑って……。ごめんね」


「……」


爽斗くんのほうから声がしない。


代わりに、炭酸飲料のペットボトルの蓋をあける音がして。


ごくごくと飲んでいる爽斗くんにそっと目を移す。



……えと、聞いてた……?


それとも、無視してる……?


< 206 / 388 >

この作品をシェア

pagetop