【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「……悪かった。ってのと、ご飯ありがと」


それは、コーラをテーブルに置くのと同じタイミングで聞こえてきた言葉。


「仲直りしてくれるの?」


「……そういう言い方、いちいちうざい。こっちが謝ってんじゃん」


よそを向くめんどくさそうな横顔。


許してくれたんだ、ってホッとしたのもつかの間。



「莉愛は結局祭り、どーなった?」


少し威圧的な声で質問された。


もしかして、また誘われると思って、けん制してるのかな。


大丈夫だよ……。爽斗くんを誘ったりしないから。


悲しくなりながらも言葉を返す。


「優心くんと、行くかも……」


「……ふーん」


ふいに爽斗くんがこっちに向かって歩いてきて、どきっとした。


あたしの横を素通りして夕飯が何か、器の蓋をあけて確かめている。


なんだ。びっくりした。
あたしのほうに来たのかと思っちゃって恥ずかしい。



……ていうか、その……目のやり場に困るよ……。


視界の中に入るほどすぐそこにいる爽斗くんから目を思い切り逸らして。


「お風呂上りにごめんね……! じゃあまた……」


くるっと踵を返して、一歩玄関に向かって足を進めたとき。



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