【完】爽斗くんのいじわるなところ。


それからしばらく、爽斗くんとみはらし台から
ふたりきりで花火を眺めていた。


あまりに綺麗で、うっとりしちゃいそう。


「こんなにきれいな花火、あたし初めて見た……」


「てか夜景とか花火とかっていうのはさ、」


むにっと両頬を掴まれて、自分の方へ首を向けさせた爽斗くんは


わずかに口角を上げて、はるか上から目線であたしに言った。



「どんなものを見るかっていうより、”誰と一緒に見るか”で見え方も変わるもんでしょ」


「どういうこと……?」


わからなくて目をぱちぱちさせていたら。



「だから……俺と見てるから、綺麗に見えんだよ」




髪をくしゃっとされて、
胸の奥がきゅんと痛くなった。




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