【完】爽斗くんのいじわるなところ。
「爽斗くんとこられて本当によかった……」


はにかみながら言ってしまった小さな声。


「……、あ。そ」


爽斗くんはなぜか、いつもみたいに馬鹿にすることもなく、ぱっとよそを向いてしまって、



「え、え? あたし……」



——パーン……と花火が打ちあがる。


数歩歩いた先にある柵に肘をついた彼は、どこか落ち着かない様子で。



あたしも勿論ドキドキしすぎて、全然落ち着かない……。



……どうしよう。
あたしが余計なこと言ったから、一気に気まずくなっちゃったよ……。



赤く火照る頬を抑えながら、「ごめん」というと。



「ねー、莉愛」


爽斗くんは、こっちに来いって、あたしのほうなんか見ずに手招きしてきた。


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